2007年8月28日火曜日

皆既月食





見ましたか?
わたしは、終わりがけを見ました。8字44分頃でした。
思えば、浪人中の10月、外にむしろを引いて、
その上に仰向けになって月食を見ていたら、
父親から、『下らんことせんで勉強せんか』と、殴られました。
不条理さに悔しくて涙を流しました。浪人中というそれだけで、
なんで月食を見ようとしただけで殴られにゃならんのか、
月食と聞いただけで今でもあのときの情景が勝手に浮かびます。
おまけに、引き金になったのは、上の兄が先に口火を切って、
見るのを止めて勉強しろといいはじめたことです。
 今思うと、我が一族にはロマンがないなあ。
自然科学への憧れをもたない、低レベルの文系一家だったんだなあ、ということです。
人間がいかに小さい存在かを実感すること、
また、そうであるからこそ逆に人間は愛おしい存在なのだ、
ということがわかるのではないでしょうか。
 あるいは、月食という巨大スケール現象が、
そのときのわたしや父親、兄貴、皆を狂わせたのかもしれません。
我々はそれを自覚してなかっただけかも。
ルナティックという言葉の、気が触れる、という状態に全員が陥っていたのかも。
所詮私たちはお釈迦様の掌の上に載せられている悟空にすきないのですね。
写真は、大濠公園の夕暮れ、そして、10枚以上撮った月食写真のなかで唯一うまく撮れた1枚です。