2008年10月5日日曜日

水素水










日曜のロー内には未修の学生が結構います。既修も。


外は秋雨がしとしと。


4月に県庁地下の本屋で買った刑訴の本を読んでいます。超がつくほど素晴らしい本です。著者は二人、いずれも現役検事で、かつ東京の有名大学院の教授も兼ねており、判例の分析と規範定立がわかりやすく骨太に書かれてます。一番良い点は、判例の立てた規範の意味、理由を懇切丁寧に説明してくれているところです。


平行して学者の本も見ていますが、比較になりません。


やはり実務家の書く文章は明快で曇りがありません。しかも条文解釈の努力が生半可でないので、頭の整理の点でも答案作成の点でもすごく役に立ちます。


香椎の奥に下原というちょっとした古い町があります。立花山の麓です。そこに水素水が湧き出てて、6リットル100円で買えるとネットに乗ってたので、女房と汲みに行きました。

わりと堅めの水です。水素水を飲んだら記憶力が向上する、とどっかの研究者が発表していたので、さっそく食い付いたと言う次第です。

はたして結果はいかに。


その下原(しもばる)というところには苦が~い思い出があるのです。高校3年の春、学年全員で宮地岳神社にお参りに行く行事があったのです。そこで、集合場所が貝塚駅になりました。西鉄電車宮地岳線の始発駅です。わたしの高校は西新という西の端、貝塚は東の端で、よく知らない土地でした。その当時、地下鉄がなかったのでバスで貝塚まで行かねばなりませんでした。ちんちん電車は走っていましたが、遠回りで時間が掛かったのです。
で、西新から貝塚行きのバスに乗ったところ、臆病な性格上早めに出立したため、知り合いは全く誰も乗っていませんでした。それで貝塚までおよそ1時間弱ぽつーんと一人、バスに乗って行きました。ところがいつまで経っても貝塚に着かないのです。知らないうちに乗り過ごしてしまっていたのでした。
 もの凄く心配になって内心おろおろしてたのですが、臆病だけでなく恥ずかしがり屋でもあったので知らない人に話しかけることができなかったため、バスの運転手さんに尋ねることすらできませんでした。
 それで、とうとうそのバスの終点である下原まで凍り付いたまま乗っていました。
もう、恐怖でお腹がグリグリ鳴って、穴が開くほど腕時計を見つめ、集合時間に間に合わなかったらどうしょう、どうしよう、そればかりでした。
 しかも、しかもしかも、その下原という終点のバス停がもう、ものすごーいド田舎で、山奥の誰もいないような場所だったのです。そうそう、田舎に1軒だけある万屋みたいな店がぽつんと建ってました。
 ところが結局、わたしのあまりの小心さ、用心深さが逆に幸いして、早く出立し過ぎたおかげで、その下原からの折り返しのバスに乗って無事集合時間ぎりぎりに貝塚に戻れたのです。
 おかしかったのは、貝塚から下原まではバスで約10分くらいしか離れていなかったのでした。なのに、下原付近から町並みが途絶え、急に田舎っぽくなってしまうため、もの凄く遠い、地の果てまで行ってしまった気分にさせられてしまったのです。
 そんな思い出の地、下原にその水素水を汲むところがあったのです。その思い出のバス停を見つけたときははっとなって胸苦しくなりました。切ない気持ちにも。その下原のバス停は30年前と変わらない寂れた様子でぽっつーん、と佇んでいたからです。
 わたしは、30年前の高校生の自分が今でもそのバス停に恐怖で顔をゆがめながら立っているのを見たような気がしました。