本物を生で見てきましたよ。今日午後1時半から約2時間、菊地弁護士の講演が辰巳でありました。
わたしも気合いを入れて前から2列目に座りました。2メートルの距離からじっくり2時間見てきました。
出席者は40人ほど、教室は満杯になりました。
話し方も表情も行列のまんま、でした。ただ、中身はどっかで聴いたことのあるものでした。数年前に3万円くらい出して購入した講義テープとほぼ同じ。
しかも、準備不足というか、ちゃんと答案検討をしていないのが見えてしまい、若干興ざめでした。
ただ、有益情報も少しは手に入りました。
菊地弁護士は思ったほど背が高くなく、その代わり、肉体は鍛えているのがよく分かりました。肩幅と胸板が頑丈な感じでした。顔は真っ黒に日焼けしておりました。少し疲れているのか、顔の艶が余りありませんでした。
教室で今年のうちのローの卒業生がちらほらみかけました。今年の試験で受からなかった人たち、もしくは受け控えをした人たちです。
もう一人別の講師が、この教室で在校生はいるか、とか、既修者か未習者か、とか手を上げさせましたが、ほとんどが卒業生でした。
やはり新司法試験も厳しくなってきました。
※そう言えば、一昨日の辰巳で所長の後藤さんが面白いことを言ってました。
法務省が法曹人口を増やす、と5年前に言ったとき、町医者と同じような感覚で弁護士を増やす、と言ったのです。
で、所長が言うには、それだったら医師国家試験と同じ環境にすべきだ、というのです。
つまり、医師国家試験の合格率は90パーセント、しかも受験回数の制限は一切無し。ところが司法試験は合格率30パーセント、ロー卒業後5年以内に3回までしか受験できない、これはあまりにも不当である、ということです。
まことに仰るとおりです。
医者の試験となんでこんなに違うのでしょうか。納得いく説明をしてもらいたいです。新法務大臣の千葉さん(弁護士出身)には頑張って合格者増員を願います。
ところが今日、菊地弁護士は、法務省関係者から聞いたところ、受験生のレベルが低すぎるのでとても増員出来ないんだと。
アタマにきました。まことしやかなことをよくもいけしゃーしゃーと言うモンだ、と感心します。
法務省はかつて、旧試験時代、合格者数を500人から1500人に増員しました。法務省の言い分だと合格者が三倍に増えたのは受験生のレベルが一気に上がったからだ、ということになりますが、そんなバカなことがありますか。
毎年、受験生の質はそうそう変わりませんよ。
法務省の言い分が正しい可能性があるとすれば、それは二つの場合しかありません。
①その一つめは、法科大学院教育の質が悪くてロー出身者の実力が本当に低い場合です。ですが、それって本当に本当なんでしょうか。旧試験時代の受験生よりも極端に質が悪くなったということはなんら実証されているとはいえません。法務省が勝手にそう言っているだけです。
わたしの意見は、間違いなくローの卒業生の方が旧試験の受験生よりも専門知識を豊富に持っています。旧試験の受験生は予備校の論証ブロックを覚えることに労力の大半を費やしていました。そのため、法律の条文はほんの一部しか知りませんでした。判例も最高裁判例しか勉強しませんでした。第一審から事実を丹念に拾っていく地道な判例研究なんかほとんどやりません。
だもので、旧試験合格者は実務的なことを全然知りません。
ですから、ローの学生の方が実力が低いというのは真っ赤なウソだと思います。
②二つめは、そもそも我が国では法曹にふさわしい人材は年に2000人しか輩出しない、という民族的限界がある、ということです。
ですが、これもまたなんら実証されていません。
大体、法律家になる素質が医者になる素質よりも高級だなンてことがありうるでしょうか。
医学部は、大体1つの県に1校あります。その上私立の医学部もあります。
毎年医師国家試験に合格する人数は7600人くらいです。
それに比べると司法試験合格に値する素養のある人間が我が国には2000人しかいない、と言えますか?
要するに法務省が人為的に操作しているのです。それだけの話です。
ですから、とっとと3000人に増やせ、と言いたいです。
※補強材料として、今日、佐賀の若手弁護士も講演に来て言いました。彼が言うには、今日本には弁護士が2万4千人いる。そのうち半分は東京にいる。残りの1万2千人がそれ以外の地域に。そして佐賀県全体では69人しかいない。
自分は武雄で弁護士を開業した(出身は関東なのだが修習地が佐賀に飛ばされた)。けど、田舎にはまだまだ仕事がたくさんある、と。
そうなんです。弁護士過剰なんてことは一部の大都会だけの現象にすぎません。
やはり合格者を当初の予定通り3000人に増やすべきです。