2012年12月24日月曜日

福島原発事故と裁判所

行政法の勉強をしていたら、次のような素晴らしい判例を見つけました。とっくの昔に知っていなければならなかったはずのもので、お恥ずかしい限りです。
名古屋高裁 H15,1,27判決です。もんじゅ訴訟の控訴審です。
この判決は、原子炉設置許可処分の無効確認訴訟で、設置許可処分は無効だと判断した、珍しいものです。
福島原発事故前に出たものです。最高裁もこれに同調してくれたらよかったのに。
それにしてもこの判決はとてもまっとうなことを言ってます。日本人の良識はまだ残っていた、といえましょう。


『以上のことからすると,原子炉設置許可処分の無効要件を緩和することは,相当ではないようにも思われる。


 しかしながら,原子炉は,ウランなどの核燃料物質を燃料とし,その核分裂反応によって発生する熱エネルギーを電気エネルギーに転換する装置であり,その稼働により,原子炉容器内には人体に極めて有害な放射性物質を大量に発生させるものであって,正常に維持,管理されても,常に潜在的危険性を有する構造物である。そして,原子炉にひとたび本格的な重大事故が起これば,旧ソ連邦のチェルノブイリ事故の例を見るまでもなく,それが付近住民と環境に与える影響及び被害は,その内容,態様,程度,範囲において,深刻かつ甚大であって,その悲惨さが言語に絶するものとなることは,容易に推測できることである。
原子炉がかかる潜在的危険性を有するものであることからすると,その設置許可の段階における安全審査において,その調査審議及び判断の過程に重大な過誤,欠落があるとすれば,当該原子炉は,付近住民にとって重大な脅威とならざるを得ない。この場合において脅威にさらされるのは,人間の生命,身体,健康,そして環境であり,換言すれば,人間の生存そのものということができる。
かかる何事にも代え難い権利,利益の侵害の危険性を前にすれば,原子炉設置許可処分の法的安定性並びに同処分に対する当事者及び第三者の信頼保護の要請などは,同処分の判断の基礎となる安全審査に重大な瑕疵ある限り,比較の対象にもならない,取るに足りないものというべきである。

ウ 以上のことからすれば,原子炉設置許可処分については,原子炉の潜在的危険性の重大さの故に特段の事情があるものとして,その無効要件は,違法(瑕疵)の重大性をもって足り,明白性の要件は不要と解するのが相当である。』

とりあえずここまで。
追; 昨晩、久しぶりに地下鉄で帰宅しました。博多駅近くの住吉に女房の実家があり、そこにバイクを駐めていたので、箱崎九大前駅から中洲川端駅で乗り換えて博多駅まで乗りました。地上に上がるとクリスマスのイルミネーションが煌々と輝いていました。大勢の人たちが見物に来ていました。その様子を近いうちにアップします。