阿寒湖温泉に到着したのは夕方5時半。ホテルの夕食が6時半からなので、温泉にはいるか町を散策するか迷いましたが、散策することに。
湖畔を見たあと土産物を売っている商店街をぶ~らぶら。アイヌのお守りのフクロウとかコロボックルとかひげを生やしたアイヌの神様なんかをモチーフにした彫り物が多かったです。
一通り町を見尽くしたな、と思ってホテルに引き返しました。ところが実はこれが大間違いでした。大事な場所を見損なっていたんです。それは夜8時から始まった千本たいまつという祭りで初めて知ったのです。
一旦ホテルに引き返し、夕食をとりました。バスツアーなのでみんな一緒に大広間で取りました。
大した料理ではありませんでした。ただ、味付けは良いのです。北海道の料理は本当に味が良かったです。ハズレが一つもありませんでした。前にも書きましたが、多分素材と水が美味しいからではないでしょうか。
夕食後、女房と二人で千本たいまつに参加。
これは阿寒湖温泉の全ホテルが共同で催しているようで、集合場所は阿寒湖温泉で一番大きなホテルニュー阿寒の湖側でした。
そこには150人くらいの宿泊客が集まっていました。そこでスタッフからサラダ油に芯を垂らした灯りをもらいました(披露宴会場のテーブルに置かれているヤツ)。それは透明な筒の中に入っていて、提灯のようにして持つのです。
その提灯をもって湖畔を数分歩きました。到着したところは観光船の船着き場。すると、真っ暗な湖の向こうから小さな小舟がゆらゆらと岸辺にむかってやってきました。
アイヌの衣装を着た三人が乗っていました。一番後ろにはひげのおじさんが赤々と燃えるたいまつを高く上げて立っていました。
小舟が岸に着くと、たいまつを持ったおじさんがオリンピックの聖火台みたいなヤツにたいまつの火を移しました。
その後、参加者全員にたいまつが配られ、スタッフがたいまつに点火し、いよいよ行進が始まりました。
それまで、バックに幽玄な感じの音楽が流れていたのが、一転、いかにもアイヌの音階、というような歌に変わりました。その歌が流れ始めた途端、わたしのハートはググッと捕まれてしまいました。
スゴク良いんです、その歌が。下の動画で聴いてみてください。
最初持たされた小さな灯りと違い、たいまつは結構大きくて、炎がまた怖くなるくらい大きいんです。
そんなたいまつを150人が持って行進を始めたのですから、巨大な炎の固まりが町を練り歩いているようでした。
町を散策していた人たちもスゴク興奮してこちらを見つめていました。見物人たちに見られて私たち行進組もさらにヒートアップ。
で、このまま終わるのかなあ、と思っていた矢先、行進は商店街を左に折れて進んでいきました。
そこに何があるのかなあ、なんてのんきにしてたところ、100メートルほど進んだところに、なんとアイヌの村が!
4メートルもある大きな木製の門の上にでっかいフクロウの木彫りが飾られていました。スゴク躍動的で感心しました。足の恐ろしいかぎ爪が今まさに獲物に襲いかかろうとしている、自分がまるで逃げ場のない子ネズミになった気がしました。
門の中は登りの坂になっていて、約60メートルくらいあり、最頂部には神様をお祭りする祭壇が、その手前にはインディアンのトーテムポールそっくりの柱が数本立っていて、その前にアイヌの長老が座り、左右にアイヌの女性たちが控えて、紐の一方の端を口にくわえ、他方を手に持ち、指でビ~ンビ~ンと弾いて音を出す、アイヌ独特の楽器を演奏していました。
そのアイヌの長老の前に持ってきたたいまつを置いて、長老がお話をし、予め書いておいたお祈りの札を祭壇に入れてお祈りして祭りは終わり。
なまめかしい炎とそれが照らす独特の雰囲気に飲み込まれてしまいました。
アイヌの伝統をこうした観光のイベントに使うことに異を唱える人もいるでしょう。ですが、わたしはすっかり感動してしまいました。
昼間行ってきた知床のオホーツク文化をここで見ることが出来た気がしたのです。
明らかに私たちのヤマト文化とは違う独自の文化が存在するということにとても感動したんです。
わたしたちはこのような文化をリスペクトしなければならない、と強く思いました。
このブログを書いている今も、あのとき流れていたたいまつの歌とビ~ンビ~ンの響きが聞こえてきます。
翌朝、朝5時に起き、朝風呂に入り、6時半から朝食。7時半出発。目的地は富良野、美瑛、そして旭山動物園、とまりは250キロ走って札幌の南にある定山渓温泉へ。
※忘れないうちに。テレビのBS民放で、なつかしの『ジェットストリーム』、そう、あの城達也さんがナレーションした、深夜零時からの日本航空提供のラジオが、流れているのを知りました。テレビですから、城達也さんのナレーションにそのセリフにぴったりの場所が映し出されています。雰囲気良いです。
以下続く