2009年1月6日火曜日

諫早湾干拓訴訟


今日から授業が再開されました。呆けてしまっててゼミの時間を間違えたりしてしまいました。

夕方からの民事弁護論の授業は、諫早湾干拓差し止め訴訟の弁護団で活躍している弁護士が講演しに来ました。

有明海が死に近づいていること、その原因が諫早湾の潮受け堤防のせいであることがよく分かりました。

かつて有明海は単位面積当たりの漁獲量が世界一だったのだそうです。ところが諫早湾干拓のせいで潮流のスピードが遅くなってしまい、海底に溜まった泥が巻き上がらなくなってしまって海水中の栄養分がその泥にくっつかなくなってしまい、栄養分の少ない海になってしまったのだそうです。それと、酸素が足りなくなり、海底まで酸素が行き渡らず、海底に住む貝類が窒息死しているのだそうです。

 ラムサール会議という、世界的な湿地を保護する会議では、広島長崎と聞けば誰でもすぐ原爆を想像できるのと同じく、いさはやと聞いただけで直ちに環境破壊の典型とイメージできるのだそうです。

例えば、どこそこの湾はイサハヤになった、という使い方をするそうです。

 講演は分かりやすかったのですが、疑問も浮かびました。長崎県と諫早市だけは未だに干拓を正当化し続けていますが、それも県民や市民が支持しているからではないでしょうか。つまり県民、市民の意識は諫早湾干拓は間違っていないと今も思っていると言うことだと思われます。そこんとこをより深く話して欲しかったと思います。

また、農地はもはや不必要なのになんで干拓したのか、目的がころっと変わって高潮防止に変わってしまったをオカシイと思わないのか、農水省の役人は本当にあの干拓が正義の行為だと思っているのか、、、、

 ただ、講演を聴いて疑問が解けたこともありました。それは江戸時代、佐賀では広大な面積を干拓してきたのに有明海の環境は悪化しなかった、それなのに諫早湾を干拓したら何故有明海が死に瀕するようになったのか、同じ干拓をしているのだから同じ結果になるのが当然ではないか、何故諫早湾干拓だけが悪者なのか、江戸時代の佐賀平野の干拓はなぜ悪くないのか、でした。

 弁護士によると、佐賀の場合、阿蘇山の大噴火によって火山灰が大量に降り注いだ有明海では海底にその火山灰がたまりに溜まっているそうで、それが潮流に乗って佐賀の海岸に押し寄せて来てどんどん海岸に泥のようになった火山灰が溜まっていくのだそうです。そして人間がその海岸に溜まった泥を踏み固めて土地に改良していって今の佐賀平野が出来上がったのだそうです。つまり自然が勝手に干拓をしたので環境破壊ではなく環境利用だったということです。

このことを知っただけでも今日講演を聴いた価値がありました。

ちなみに、弁護士達は15人くらいで弁護団を結成してて、みんな手弁当、持ち出しなんだと。

それから、去年韓国で環境に取り組んだ団体に与える賞のグランプリを取ったそうです。その副賞の2万ドルが活動資金とできてとても有り難かったとも。

偉いなあ。