2008年7月15日火曜日

不意を突かれて







油断してました。刑訴実務の授業開始1分、検事教官が、『それでは前回課題にして提出してもらっていた事案について.....』と言い始めました。



その頃わたしは、『え~え~とぅ、きょーのじゅぎょーって、なにやるんやったっけ~』なんて、てれてれとプリントを探しておりました。



 すると、教官が『えー、では、問い1からちょっと聞いてみましょーかぁ』



わたし『ふ~ン、だれからかいな~』



教官『えー、ではAさん!』



わたし『えっ?えええ~~~~っっ?!』






ワレニ突然落雷直撃セリ、ワレ不覚ヲトレリ。






わたしは頭がまっしろけになってしまいました。そもそも何を答えたらいいのか、問いそのものをすっかり忘れてしまっていたのであります。



それはたしか先週意外にも締め切り前にとっとと提出し終わってた課題のことだったのでした。



数秒間、あーとかえーとかおらびながら時間を稼ぎ、一体どんな問題やったんかいな、とあわてて課題プリントを見直しました。



そ~かそ~か、やっと思い出したぞ。告訴状のはなしだった。



と、ようやく問題を思い出したのは良かったのですが、それから先、またしてもわたしの悪いクセが出てしまったのであります。



そうなんです。自分の思ってた疑問だとか筋を思いっきりぶちあげてしまったのでした。



というのも、先週、仲良くなった2年生の未修の女子学生からその問題を質問されたときは、基本からきちんと答えたのですが、その筋だと本題から遠いところから話し始めなければならず、ちとかったるいなあ、なんて思ってたので、本質的な問題点だけをずばっと言うのがかっこいいんじゃないかなあ、なんて余計なええかっこしー心だけが頭の中に残ってたのです。



そのため、教官からいきなりトップバッターの指名を受けたとき、その、ええかっこしー部分だけしか頭に浮かんでこず、基本からしゃべるという気持ちが完全にトンでたのです。それで、しゃーない、いったれーっ、と自慢の暴走行為が始まったのであります。



クラスの学生は、またやっちゃってるよ~Aさんが~、と思ったことでしょう。



要するに、思ったことをそのまんまぶっちゃけたわけです。



 本当に油断してました。



教官はなんどもわたしに斬りかかり、突きかかり、引き倒しにかかりました。



結局、4分か5分とっつかまってしごかれました。くわしく知りたい方はそのむねコメントで要求してくだされば喜んでお応えします。



わたしの後、優秀な若者に同じ質問がされました。その学生は出だし絶好調で、理路整然立て板に水、と、よどみなく論理を組み立てて行ってました。



ああ、おれもそこから始めるべきだったかなあ、いきなり各論から言い始めたのはまずかったかなあ、それにしてもあいつよー勉強しとるなー、とシュンとなりかけました。



でも、彼のような最初から論理を組み立ててると本件まで行き着くのは遠いんじゃないかなあ、丁寧すぎるんじゃないか、無駄っぽい所もありそうだが、、、、。



と思いながらも、それでも、やっぱりああやって基本からきちんとしゃべった方が受けるだろうなあ、、、



と思いながら聞いていると、教官がいきなりその学生に牙をむき始めたのです。『で?』



『本問についてはどうなの?あなたはどー思うの?それはどーゆー判決なの?』



と、どんどん追い詰めるので、その学生は立ち往生してしまいました。



わたしが思うには、わたしのした返答は本問の回答に各論的に答えることだけしかして居らず、本問の基礎についてなんら話していない、ぎゃくにその学生はその基礎部分だけしか話していない、と二人とも両極端の返事をしたのだと思います。



 で、3人目の学生はほとんど授業を聞いて居らず、問いが何なのかも分からないということが判明したので、教官はあきらめて自分で解説を始めたのでした。



 結局、わたしの名誉は若干回復されました。わたしの思った疑問点は実はそれなりに間違いではなかったのでした。



ただ、最後の詰めでわたしの考えは的を射るとまでは行かず、矢は的に向かって正しく飛んでいったけれど、的の前で失速して届かないまま地べたに落ちたといったところでした。






今は、悔しさが大きいです。油断さえしていなければ、もっともっとずばっと答えられたのに。