2009年4月14日火曜日

絹のような雨







久しぶりの雨です。わたしの好きな霧雨です。時折突風が吹き荒れました。図書館前の自転車がばたばたと倒れていきました。



今朝は8時過ぎにローに到着。ロー内にある図書室で医事判例を探しまくりました。未熟児網膜症の医療過誤訴訟に関する判例を5個探さねばならなかったのです。



最高裁の判断が時が経つにつれ徐々に変化しているのを纏めるのが課題でした。



朝は能率が良いです、やっぱり。



今日は法曹倫理と歴史と法、という授業だけでした。どちらも試験科目ではないのでのんびりした授業でかなり眠たくなりました。学生の多くは内職か爆睡しています。はっきり言って無駄な授業です。



 試験科目でない授業でもとても面白くて役に立つ授業もあります。月曜夕方から夜にかけて2コマ連続授業の『紛争調停技法』です。アメリカ帰りの女の先生がハーバード式交渉術を伝授してくれます。紛争の調停ではどういう技法が大切か、の授業です。



 例えば、図書館で一生懸命本を調べていた女性がせっせと何枚もメモを取っていたところ、近くの机に座っていた学生が、窓を開けました。



と、開いた窓から風が吹き込んで彼女のメモを吹き飛ばてしまいました。



彼女は学生に向かって窓を閉めてくれと頼みました。



 それに対して学生は閉めたくない、と答えました。



ではどうすればうまく解決できるでしょう。



 ヘタな解決法



窓を何センチ開けるか、あるいは何分間開けておくか、などと交渉すること



 上手な解決法



何をしたいか、を問題視するのを止めて、何故そうしたいのか、理由を探ること



女性が窓を閉めたがったのは風でメモが飛ばされるのが嫌だから。学生が窓を開けたがったのは室内が暑いから。



だとすればメモが飛ばずに室内が涼しくなれば両者とも満足する。そこで、エアコンのスイッチを入れる、とか、彼女の机に風が吹き込まない所の窓を開ける、といった方法がある。



このように理由動機を探って両方ともが満足する解決法を、ウィンウィン法(どちらもが勝者、犠牲者がいない)という、な~んていう授業です。



それから、調停者は相当の調停能力を持っていないと調停は不調に終わるし、余計に紛争を悪化させることになる、だから調停能力を持つことが大切だ。



こういう授業です。これは実務家としてはとても役に立つ情報だと思います。



ところがローの学生達には馬の耳に念仏、です。むしろ猫に小判の方が適切かも。授業中堂々と寝てたり他の科目の予習をしたりする若者が多いです。罪悪感はゼロです。



 もったいないなあ、と言うのが率直な感想です。紛争の解決法は裁判だけではなく、裁判は最後の手段に過ぎません。話し合って解決するのが一番です。



 もっとも、授業の半分は教室を暗くしてスライドを見ながら説明するので、薄暗い教室内では誰しも眠くなりますが。