2009年9月15日火曜日

福岡刑務所




行ってきました。じっくり見てきました。
先生を先導にクルマ3台、計14人で。
うち、女性が4人。
①クルマ入構時のチェック
②細い道をくねくねと庁舎裏へ
③事務室のある庁舎玄関に制服を着た職員の方が2名、出迎え、というか、チェックというか、案内に出てきていました。
私たちを連れて行ってくださった先生は土井先生と言い、刑務官達は親しげに、しかし尊敬を込めて挨拶していました。
④庁舎2階の会議室みたいな部屋に通され、15分間の案内ビデオ、同じく15分間の、刑務官がどれだけ頑張っているかのビデオを見ました。
⑤そしていよいよ鉄格子を3回くぐり抜けて、刑務所の現場に。
⑥案内をしてくれた刑務官はイイ感じの若者、30代前半くらいでした。土井先生とは旧知の仲のようでした。言い忘れましたが土井先生は50代後半くらい、穏やかな学者、という感じです。
⑦中は広々と作られていました。廊下も建物間の幅も。
⑧数年前に監獄法が全面改正されて、名称も刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律、という長ったらしい名前に。
そのせいか、意外な感じでした。
⑨まず、施設内はどこでも一切イヤな匂いがしませんでした。汗臭さとかトイレの悪臭とか、娑婆よりもよっぽど清潔でした。消臭剤の芳香が漂っていました。 また、1800人以上もが収容されているのに、なんか静かなんです。
⑩房は一人用、4人用、6人部屋、がありました。どの部屋にも洗面台と洋式トイレがあり、一人部屋以外は磨りガラスっぽい仕切りが立てられていました。
トイレの最中は他人から見えないようにされてはいます、けど、ニオイは確実に部屋中に漏れると思います。
薄い敷き布団とシーツで包んだ毛布のようなものが畳んでありました。被収容者たちの所持品は新法で相当自由化されたそうです。一人に1個ずつ、旅行用のボストンバッグが支給され、その中に個人の持ち物を保管することができるようになっていました。また、本は自分専用の本棚に置ける限り、持ち込んで良い、ということになっています。
刑務官と先生の会話から聞こえてきたのは、広辞苑を持っている受刑者が結構いるそうです。
 大部屋には扇風機が設置されていました。ただ、一人部屋にはありません。
特筆すべきは、どの部屋にも14インチのテレビがあったことです。これにはびっくりしました。わたしのイメージは、広い集会所みたいなところで100人くらいがテレビを食い入るようにみている、そんなシーンだったからです。
 ただ、刑務官の口ぶりからして、大部屋の中のリーダー格の人物がテレビチャンネルの決定権を握っているような感じです。
 テレビは7時から9時までどのチャンネルでも自由に見ることが出来るそうです。
 就寝時間は、もらったパンフレットでは夜9時になっていましたが、実際は10時なんだそうです。
 規則では夜9時就寝、朝6時40分起床、となっていて、計算すると9時間40分も横になっていなければなりません。これの方が辛いんじゃないかなあ。
もしもわたしが、お前は毎晩9時間半寝ろ、と言われたら拷問に思うでしょう。
6時間で十分です。 もっとも、暴れないように食事のカロリーは最低に抑えているので横になった方が楽なのかも。
⑪受刑者さんたちも見ました。刑務作業中の作業所を見学したときです。靴とか金属加工とか溶接、電機部品の分解、洋裁、などなど、工場内を見学していたとき、大勢の外国人受刑者を見ました。
 そうそう!忘れてました。見学は横2列になり、前方と後方は男性が、その間に女性が固まるように、と言われました。多分女性を守るためでしょう、何から?それは受刑者の視線からではないでしょうか。
⑫視線で忘れられないことは、見学も終わりかけ、中庭の階段を上っていたときでした。ヘルメットを被って電気工事か塀の修理をしていた4人くらいの集団がいました。わたしはその外見から、外部の建設業者が作業をしているのだろうと思っていました。
 すると、私たちが階段を上ってそこに近づいたとき、そこに二人いた刑務官が何か大声で叫んだんです。すると作業していた4人は突然直立不動になり、しかも私たちに背を向けたんです。まるで何かに向かって黙祷を捧げるような姿勢でした。目をつぶっていました。
 通り過ぎた後で、あっ、と分かりました。受刑者は決して見学者を見てはいけないんだと思いました。
⑬見学が終わると、元の会議室にて偉い人が30分以上説明をしてくれました。刑事政策白書をダイジェストでレクチャーした、という感じでした。
⑭まとめ
 実際にこの目で刑務所を見ることができて大変良い経験でした。
 自由を奪われると気が狂いそうになるんじゃないか、という気がしていましたが、意外に人間関係が構築されているみたいで、受刑者たちは穏やかな収容生活を送っているのではないか、と感じました。
 刑務所太郎といって、刑務所の方が娑婆より居心地が良いので何度も何度も戻って来たがる困った人たちがいますが、わかるよーな気がしました。
刑務官達に言われたとおりにやっていれば一日3食、食いっぱぐれはないですし、卓球とか囲碁将棋とかレクリエーションも毎日でき、お風呂も週3日入れるし、土日は刑務作業もないし、と、想像以上に楽ちんな感じがしました。
 正直、もっと惨めで陰惨で絶望感に覆われたこの世の果て、みたいに思っていたのに、敢えて言えば医療施設のような雰囲気すら感じました。
 唯一、刑務所らしいなあ、と感じたのは刑務官の醸し出す権威とキツイ目線でした。




追;今夜帰り道で交通事故に遭遇。六本松で大衝突。一台はひっくり返ってました。中を覗くと人はいません。血の痕もなし。現場から10メートル先に交番が。そこも覗いてみましたが、もぬけの殻。どーなってんの?