2009年4月28日火曜日

法曹倫理







面白い授業です。弁護士と裁判官と検事が2回交代でそれぞれ法律家としてどうあるべきか、という限界事例を出題して学生に考えさせるのです。



先週は弁護士先生が。お題は、顧問先の乳製品会社の経理部長と飲んでいたら、その会社が消費期限切れの牛乳を使用しているとその経理部長が弁護士に漏らした、それを聞いた顧問弁護士はどうすべきか、と言うような問題が3,4問。



わたしは自ら手を上げて持論を述べました。というのは、その前に意見を述べていた他の学生達がみんな顧問先を守る義務が顧問弁護士にはある、として秘密を守るべきだと言ったからです。



それを聞いてわたしはムラムラッと来ました。弁護士が社会正義を実現しようとしないで他に誰がやる?と思ったからです。



で、わたしの理屈はこうです。一般人でさえもその事を知れば直ちに役所に知らせるべきである。そうであるなら弁護士はなおさらである。顧問契約を結んでいるので顧問先を守る守秘義務はあるが、それを盾にして黙っていてよいことにはならない。守秘義務とは関係ない、と。



だって、もしも会社の秘密が例えば覚醒剤の密輸をしている、なんて場合でも守秘義務があるから警察に黙っているべきだと言うことになってしまいかねません。守秘義務の及ばない事実だと言えます。消費期限切れの牛乳を使ったことも同じだと思います。



弁護士先生は、わたしの話をきくと、雰囲気的に賛成しない感じでした。わたしのようにすれば顧問先を失うことになるのは間違いない、と。ただ、事例としてはその事実を知った弁護士は法律事務所のボスではなく、下っ端の弁護士だという前提でした。



その場合は、ボス弁に報告するのが先だ、そしてボス弁の指示を仰ぐべきだ、というのが先生の結論でした。



まあ、現実にはそうでしょう。でもボス弁が握りつぶしたらどうなるのでしょうか。ボス弁に報告はすべきですがボス弁の指示を仰ぐというのはちょっとどうかなあ、と疑問を持ちました。一人の市民として行動すべきではないか、つまり社会の一員としてみれば、不正な行為を発見したら個人の判断で行動すべきではないか、と思うのです。それに顧問先を失うことになるのでしょうか。もしも黙ったままでいたら、将来、その会社はもちろん事務所まで不正に荷担したとして社会的制裁を受け、かえって両方共に不利益が拡大してしまうことになりはしないでしょうか。



不正が拡大しないうちに芽を摘んでおくことのほうがはるかにリスク防止になり、それこそ顧問弁護士のすべきことではないでしょうか。



しかも日本中の弁護士が全て同じように行動するならば、顧問契約破棄することにはならないでしょう。つまり、弁護士という奴らはどいつもこいつも間違ったことを発見すると必ず公にしたがる、という認識が社会に確立されていれば良いのです。そうすべきなんです。それが社会正義の実現を図る、という弁護士法1条の趣旨にかなうことではないでしょうか。






 それから、今日は裁判官の授業。これも何題か出題されました。わたしが当たったのは、裁判官がパチンコをして良いか、です。大都市に住んでいる裁判官甲はパチンコが好きなので休日になるといつもパチンコをしている。おかげで借金はないが貯金はほとんど無い。あなたはどう思うか。この裁判官は裁判官の倫理に反するか、それともパチンコくらいは許されるのか、それとも、パチンコをするのはよいが貯金出来なくなるくらいパチンコをする回数と金額とが問題なのか、みなさんはどうお考えですか。みなさんのご意見を窺ってみたいです。