2008年7月3日木曜日

なが~い一日

昨日あたり、夏が来た、と感じました。モンスーンが赤道の熱風を運んできました。ついでに湿気も。今朝、横浜から来た学生が言ってました。九州ってこんなにむんむんするんですねえ、と。それを聞いてこちらがへ~っと思いました。そんなに違うのかねえ、関東と。でもたしかに急にもわんもわんしだしました。
 昨夜、久しぶりに机寝。布団に移ったのは4時、1時間寝てローへ。行政法と刑法のダブル襲来にはやはり悶絶しました。
特に刑法。偽造の所は昔っから疑問だらけでした。ところが、ここ数年、立命館の松宮という学者の説に惹かれて、彼の考えが一番筋が通っているのではないか、でも今ひとつ最後のところですっきりしない、という状態でした。それで、今回刑法で偽造が当たることになり、これを機会にとことんやってみよう、そして先生に全力投球でぶつかってみよう、と思ったのです。
ところが、やはりそう簡単にはすっきり分かるまでには至らず、あーでもないこーでもない、と時間ばかり費やして行ったり来たりしていらいらが募り始めたのでした。こんなことならあっさりと判例の見解だけをしら~っと言っとくという作戦にしとけばよかった、見栄っ張りの悪癖がでました。
 そうこうするうち、行政法の小テストの勉強が全くできていないことにも苛立ち始め、とうとう今週は気が狂いそうになってきました。
 それで、昨夜から今朝にかけて今一度刑法を考え直してみました(行政法をやりたくて仕方ないのに)。で、朝10じ半からの刑法の授業の直前になってやっと自説を胸を張って、前を見て何も見ずに先生と話をする形式で立ち向かえるように(あくまで主観です)なりました。
 ところが、わたしの番は授業の最後残り3分で来たのです。ですから、う~~ん、どうしようか、残り3分だったらあっさり判例はい終わり、方式でいくかなあ、迷うなあ、と。
ところが、あれほどわたしを苦しめ、行政法の勉強の邪魔をしてくれた刑法をこのまますんなり終わらせるのもしゃくに障る、というイカリが顔をだしてしまい、自分でも制御できずに、『~という事案で判例は~という考えにより~という結論を出しました。』先生『それであなたはどー考えるの?』一瞬の沈黙の後、『残念ながら、わたしは判例に反対です!』
あ~あ。やっちゃった!!やってしまいました。なんかこの前の民法みたいです。
 それから先はバトルバトルでした。
後でほかの学生から『今日はどうしたんですか?チャレンジャーになっちゃって』と心配というかあきれられました。
 でも、物言わぬは腹ふくるる業也、言ってすっきり。偽造の理解が一段と進みました。

昼休みを挟んで今度は行政法の小テスト、この1時間の昼休みが勝負のとき。出そうなところの条文や判例を頭に叩き込むのは今しかない。
 と、昨晩女房の実家で偶々見た、記憶術の先生の覚え方を思い出し、早速応用してみることに。すると、かなり役に立つことが分かりました。これはウレシイ。
 で、1時から行政法の小テスト。その前に、前の刑法が終わってすぐ行政法の教室に行って席取り。なぜかというと、行政法の先生が教室の机のどこから当てるか、前の時間同じ授業を受けていた別のクラスの人たちから聞いて、当たらない場所を確保しなければならないからです。ガキみたいでしょうが、笑ってる場合じゃあないんです。
というのは、先生が予め出している宿題の設問の答えを見つけ出すためには、10時間くらいの勉強が必要だからです。ぎっしり詰まった行政法の本を読み、判例、条文を探し、それでもどこにも答えが載っていないという設問が半分くらいあって、探す時間が無駄に終わったりするんです。そういう質問が一番疲れるしいらいらそわそわはらはらするんです。
 今日の授業の初め、先生は怒ってました。前の時間に同じ小テストをしたとき(数週間前)、そのテストの答えを後のクラス(つまりわたしたちのクラス)に教えているとの内部告発があったみたいです。それから、自分の授業スタイルにけちをつける学生が居て、そのいちゃもんに対してビリビリ反応してたのです。
 前にも書いたように、教える側に立ったことのない若い学生たちは凶暴なくらい無慈悲に先生を攻撃します。わたしは賛成できません。教えるための準備がどれくらい大変なことか、彼らはわかりません。そういう意味ではナイーブです。
 それで、肝心の小テストですが、まずまずかなあ、という感じで、絶望と満足の中間からやや満足に寄ったところくらいです。
 しかも、その後の授業では当たらない席に座れて、大安心。当たった席の学生たちはパニックみたいでした。
 その後、学生4人で刑法の課題答案の構成についてのゼミを1時間。
それが終わり、広場で話しをしていたら、法科大学院長のN先生が通りかかり、院長室へ。
その数分後、院長が出てきて、まだだべっていたわたしたちのほうへ。すると、院長はわたしに向かって、『Aさん、よろしかったら院長室までおいでくださいませんか?』と!?
みんなで顔を見回しました。なんで自分が?ほかの学生たちも???という顔。
わたしは一瞬、もしかしてお金の話では?と、どきっとしました。

つづきはまたあした。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

昨日の講義、御苦労さまでした。別に判例にひたすら追随するのが法曹の役目ではありません。反対、大いに結構です。昔、学生の頃、十一月祭の一環として、宮本さん(再任を拒否された元判事補さんです)の講演を聞きました。そのときの一言で今も忘れられない言葉に、「最高裁に向いてばかりの判決を書いていたら、そのうち反対の判決が書けなくなります」がありました。今も同感です。

さて、話変わって、立命館の松宮さんが講師でしたか。立命館で刑法の教授で松宮といえば一人しかいないでしょうね。私の一つ下の学年でした。よく知っています。彼が今でも私を覚えていてくれているかは別として。確か結果無価値にたつていたかと思います。もっとも、同志社の大谷さんのように、結果無価値から行為無価値に変わる人もいますからわかりませんが。ともあれ、あちこちの大学の法学部をみると、知っている先輩・同期・後輩が教授になってがんばっていますね。我々も早く法曹になって社会に貢献したいものです。

あんみつ さんのコメント...

鳥取さん、コメントありがとうございます。
松宮の偽造は秀逸だと思います。ごまかしがありません。
わたしの当たった問題は、起案担当の公務員が内容虚偽の文書を作成して上司にめくら判を押させたという例のやつです。
判例は156の間接正犯としました。
わたしは、156の間接正犯ではない、156の直接正犯だ、と言いました。
 間接正犯も正犯だから身分犯規定では身分が必要だ、身分のない者には身分犯の間接正犯は犯せない、と言いました。
 身分犯の間接正犯が成立する事例は、公務員が何も知らない秘書に内容虚偽の公文書を作成させた、つまり秘書はワープロのようにタダの道具になっている、という事例である。
これに対し公務員でない者が何も知らない公務員を利用して内容虚偽の公文書を作らせてもそれは間接正犯ではない。
あえていうなら、不可罰の間接無形偽造形態の行為である。157で処罰するというのは本来不可罰のはずの行為をあえて処罰するのだ、それは処罰しないと公正証書原本の内容真実性が害されるからだ、でもそれはやむを得ない例外だ、
現に条文も、虚偽の申立をして、とか、虚偽の文書を作成させた、とか、およそ偽造罪や虚偽文書作成罪の条文の書き方と違う表現をしている。
で、本判例の事案は、判旨をよく読むと、日頃から文書の起案という重要部分を担当する権限を持っており、そのような実質的権限を持った者が上司にめくら判を押させて文書を『完成した』と言っている。
もしも、非身分者による身分犯の間接正犯を肯定するのなら、こんな細かいことをねちねち言う必要はないはずだ。
 つまり判例は、あくまで非身分者には身分犯の間接正犯は認めないが、今回の公務員は実質上文書の作成権限を持っているといえる、ただ最終的な作成権限は上司にしかないから、その点で直接正犯とは言いづらいので
間接正犯と表現してごまかしたにすぎない。
松宮は、むしろ堂々と直接正犯と言え、という。ぼくも同感だ。